※本記事は小田玄紀さんのnote記事「日本を「経営」する:GDP1000兆円への再起動計画(④長寿化)」を許諾を得て再掲載したものです。本文は原文のまま、見出しのみ編集部で再構成しています。
出典:https://note.com/genkioda/n/nf49bd6351a93
小田玄紀です
日本経済・財政を再生させることは可能です。日本を「経営」する意識を持ち、適切な政策を実現することで日本経済・財政は再生されます。そのために必要なことは
①エネルギー政策 ②半導体・生成AIなど最先端産業 ③長寿化
これに「金融政策」を加えることで十分です。他のことももちろんやっても良いですが、この3つ+1つの政策を適切に行うことで、日本のGDPは1000兆円になり、税収は130兆円になります。現在の国家歳出は122兆円。ここから利払費や防衛費など上がっていくことは想定されますが、別途税外収入が10~15兆円ありますので、十分賄える範囲になります。プライマリーバランスだけでなく、キャッシュフローベースで日本経済・財政は黒字化できるのです。
これまで、①エネルギー政策と②半導体・生成AIなど最先端産業については説明をしてきました。今回は、③長寿化について考えていきます。
「コップに水が80%」長寿化議論の出発点
長寿化の議論に入る前に、下の画像を見てください。コップの中に水が入っています。大体コップの80%位の水が入っています。

あなたはこの画像をみて、
「コップに水が80%も入っている(水がいっぱい入っている)」
と思いますか?あるいは、
「コップの水が20%もなくなっている(水があまりない)」
と思いますか?
長寿化を検討する上で、この問いに向き合っていく必要があります。多くの人は、初見では「コップに水がいっぱい入っている」と思うのではないでしょうか。しかし、ここで悪魔の囁きが入ります。
「あなたはこれから、砂漠に行くかもしれません。砂漠に行ったらこの水で足りますか?」
「これから水不足になるかもしれません。水がもう供給されなくなるかもしれません。本当にこの水で十分なのですか?」
このような言葉が囁かれると、急に水が足りないかもしれないと思えてきます。少なくとも『今は足りていても、将来は足りなくなるかもしれない』と多くの人が思ってしまうはずです。
まさにこの悪魔の囁きが『少子高齢化』という言葉です。
少子高齢化という言葉は、日本では1992年の旧経済企画庁(現:内閣府)の「国民生活白書」に初めて公式に用いられた言葉です。多くの人が、この『少子高齢化』という言葉を聞くと、これから日本の人口が減り、また、高齢化率が高まっていくことを想定してしまいます。そして、それと同時に次のようなイメージを想起してしまいます。

少ない若者が高齢者を支えていくイメージ図です。少なくてもこの30年、多くの政治家、役人、そして国民はこのイメージに縛られてきて、少子高齢化対策を国家的課題として取り組まないといけないということを考えてきました。
高齢者になったら働くことが出来ない(または高齢者を働かせてはいけない)、だから、社会保障を手厚くして、高齢者層を支えていこうという趣旨は正しく、これを否定する必要はありません。
しかし、実際には多くの人が想起するような上記のイメージにはなりません。従来の社会保障に関する考え方は根底から変えていくことが可能であり、また、改めてこのことを国家として議論するべきステージに今、来ていると思います。そのキーワードとなるのが「長寿化政策」です。
明治維新から150年で人口3倍。「人口が少ない」は本当か
以前、以下のNoteで考察をしたので、重複する部分は割愛をしますが、現在、日本の人口は歴史的にみると非常に多くなっています。
以下のような人口シミュレーションもよく出されていますが、これも「少子高齢化」という悪魔の囁きにより、将来人口が減少する状態を含めて算出していますが、右側の将来想定を除外すると過去最高の人口数であることが分かります。

今から150年前の明治維新時代において、日本人の人口は3300万人でした。そこから人口が増え、今から80年前の第二次世界大戦終戦時には7199万人でした。
わずかこの150年で日本人の人口は3倍になっており、80年で3000万人近く増えています。
「少子高齢化」は「少子化」と「高齢化」という2つの問題に区分されますが、「人口数」という観点でいうと、今の日本は歴史的にみても人口が多い状態です。もちろん、出生率が減っていることから、将来の人口数が不安という意見があるのは分かります。この点は後で説明しますが、実は出生率の改善という課題も解決可能です。「少子高齢化」という言葉により、現在そして将来が不安になるイメージが先行してしまいますが、少なくとも、現在は日本の人口は多い状況です。
「コップの水は多い」のです。
健康寿命「世界第1位」日本が持つ最強のアドバンテージ
国でも企業でも個人でも、成長戦略の基本は強みを伸ばすことです。日本は世界に誇れる強みがあります。それは、世界一の健康寿命を有するという事実です。
世界保健機構(WHO)のデータによれば、日本が世界第1位(約74.1歳)です。
世界第1位 日本 約74.1歳 世界第2位 シンガポール 約73.6歳 世界第3位 韓国 約73.1歳
となり、人口が1億人以上いる国としては日本が断トツで健康寿命が長くなっています。
なお、健康寿命とは「介護や寝たきりにならず、自分の力で自立して元気に生きられる期間」を算出したものであり、つまり、労働可能な寿命になります。参考までに平均寿命は次のようになります。
世界第1位 香港 約85.5歳 世界第2位 日本 約84.3~84.6歳 世界第3位 マカオ 約85.2歳 世界第4位 スイス 約84歳 世界第5位 シンガポール 約83.9歳
平均寿命では世界第2位になりますが、人口数を考えた場合に日本が長寿国であることは事実であり、健康寿命との差は約10年です。
なお、日本が長寿国であることはここ最近の傾向ではありません。今から2200年前に秦の始皇帝は、東方の海に浮かぶ「蓬莱の島」に不老不死の霊薬があると信じ徐福を派遣しました。古来から日本は「病も老いもない理想郷」とされていました。
食生活や気候変化等の要因、また、医療技術の進歩や健康意識等も相まって、日本の平均寿命そして健康寿命は高い状態が維持されています。今後、さらにこれを強化するために科学的な見地を含めて向上させることで、日本の健康寿命はさらに高くなることも期待されます。


