※本記事は小田玄紀さんのnote記事「日本を「経営」する:GDP1000兆円への再起動計画(⑤金融)」を許諾を得て再掲載したものです。本文は原文のまま、見出しのみ編集部で再構成しています。
出典:https://note.com/genkioda/n/n0fda17d2a860
小田玄紀です
これまで、日本経済・財政を再生させるために重要な点として
①エネルギー政策 ②半導体・生成AIなど最先端産業 ③長寿化政策
について説明をしてきました。政府が掲げている17の重点分野も重要です。その全てを推進していくことに同意しますが、特に何かに特化する必要があれば、この3点を推進していくべきですし、言い方を変えれば、この3点だけを徹底的に推進していくことで日本経済・財政は再生できます。
企業経営においても成長分野は選択と集中が重要です。「半導体・生成AIなど最先端産業」のNoteでも書きましたが、日本の上場企業は最も時価総額が高い企業でも50兆円程度です。しかし、韓国・台湾では半導体のSKグループが100兆円強、Samsunグループが200兆円、TSMCが300兆円を超えています。
つまり、あれもこれも満遍なくやることは集中ではなくリソースの分散に繋がります。各省庁でそれぞれ重要事項をやることは賛同しますが、日本全体としての経営を考えた場合には、特にこの3つの分野に対して徹底的な集中そして投資を行うことで、日本のGDPは1000兆円を余裕で超えて、税収は130兆円を超えます。
エネルギー赤字が毎年30兆円近く発生している現状を考えたら、核融合には年間2~3兆円程度の投資をしても良いと思っています。民間企業にこの規模の設備投資は中々難しいので、設備投資(CAPEX)は政府資金で行い、それを民間に長期で貸与して運営資金(OPEX)は民間投資で賄わせるというのがこの分野では重要になってきます。
核融合発電が実現した暁には、仮にエネルギー赤字が半分になるだけでも年間15兆円の効果がありますし、最終的には日本がエネルギー輸出国になる日も実現するかもしれません。
半導体についても、10兆円規模の補助金を数カ年で拠出することになっていますが、これからの市場規模を考えた場合に、特に最先端半導体については需要がこれからより高まってきます。特にエッジ半導体の開発により、現在のアプリから端末自体に半導体が組み込まれることでこれまでに無い進化が実現します。
ドローンや携帯端末、ロボットなどが通信を不要として判断できるようになってきます。この社会の実現は不可避です。これらの市場規模を鑑みた場合、半導体分野において30~50兆円近い投資を今後10年で行ったとしても十分な投資対効果が期待されます。
こうした産業誘致・開発において重要なことは事業生態系を創り上げていくことです。たとえば半導体においてはファウンドリなど前工程には周辺二多くの企業が誘致されることになります。素材関係、機械関係だけでも数十から数百の企業が動くことになります。また、後工程も国内で連携することが出来れば、さらに産業としての集積効果が出てきます。そして、こうした工場の近くに電源である核融合や小型原子炉などが開発されることでさらなるシナジーが期待されます。
そして、必要な労働力については健康寿命をより長くして、70歳または73歳まで働ける人に働いてもらうことで、労働人口は1000~1400万人増えるので、労働力についても問題ありません。
日本のポテンシャルは無限にあります。
「貯蓄から投資へ」は実現した?2351兆円の現在地
ここまででも十分に日本再生は実現性があることを理解できると思いますが、さらにこの成功確率を高める資産が日本にはあります。それが「金融資産」です。
よく、「日本人は投資が下手」「日本人には金融リテラシーが無い」と言われます。しかし、これは事実と大きく異なります。私は陰謀論はあまり好みませんが、これこそ海外勢力がプロパガンダをして日本人の強みを削ごうとしている啓蒙活動なのではないかと思ってしまうほど、事実と大きく異なります。

まず、日本の国民金融資産ですが2025年12月末時点で2351兆円となります。主な内訳は上記記載の通りであり、2025年末で統計上初めて、現預金が50%以下となりました。「貯蓄から投資へ」が実現したのです。
なお、日本人は不動産投資が好きなことは有名ですが、上記の国民金融資産には不動産が含まれていません。日本人の不動産保有額は1200兆円程度とされています。そのため、不動産資産と合算したら3500兆円程度となります。最も、不動産資産の全てが投資用ではなく、居住用の不動産が多いことは考慮する必要はありますが、それでも極めて多くの国民資産があることになります。
そして、この金額は世界でもトップクラスという事実を私たちは再認識するべきです。以下が国民金融資産の世界ランキング上位です。
1位 アメリカ 約1京8000兆円 2位 中国 約4800兆円 3位 日本 約2300兆円 4位 イギリス 約1200兆円 5位 ドイツ 約1200兆円 6位 カナダ 約900兆円
中国については国民金融資産として評価して良いのかという意見があり、また、イギリスについてはユーロベースでは850兆円程度という結果であり、他方ポンドベースでは1200兆円という結果のため、一般的なランキングではドイツが4位、カナダが5位となるケースもありますが、いずれにせよ、日本の国民金融資産は世界3位であり、資本主義国においては世界2位となります。4位以降とは2倍近い開きがある、圧倒的に国民金融資産が多い国になります。
上記の事実を認識した上で、もう一度、確認します。「日本人は投資が下手なのでしょうか?」「日本人は金融リテラシーが低いのでしょうか?」世界一ではありませんが、世界トップ3に入っている国民に対して、このレッテル貼りをすることはさすがに強く否定するべきではないでしょうか。
そして、日本の国民金融資産はこれから益々増えていく可能性があります。
2045年に国民金融資産5000兆円。産業回帰との相乗効果

上記の表は数年前の表になりますが、米国やイギリスなどは2000年からの20年間で国民金融資産が1.6~2.6倍に増えました。日本はこの期間に1.2倍しか増えていません。
今後、国民金融資産がより投資に対して向けられることで、国民金融資産はこれから20年間で2倍以上になる可能性があります。つまり2045年には国民金融資産が4600~5000兆円近くなる可能性があります。
仮に、この資産の10~20%が国内投資に回ることがあったら、それだけで500~1000兆の投資になります。国内に産業が回帰し、それを長寿化政策による労働力がカバーし、さらに国民金融資産による投資が実現されることでより産業基盤は強固なものになっていく未来が想像できます。
先日、日銀が利上げを発表したことで、これから益々「金利がある世界」になってきます。ただでさえ、金融市場は収益性が高まってきますが、さらにこれを加速させるのがオンチェーン金融です。
オンチェーン金融については、詳細は以前書いた上記のNoteに譲りますが、オンチェーン金融がより普及することで、さらに金融利回りの改善は進みます。
これから3~5年の間で、オンチェーン金融に対応する金融機関は成長し、そうでない金融機関は衰退していくことは自明です。既にアメリカではオンチェーン金融をスタンダードにし、グローバルでの金融プラットフォームを抑えにいこうとしています。
金融がオンチェーン化されることにより、24時間365日の取引が可能となり、また、異なるアセットクラスでも資産が標準化されて投資の証拠金として活用されるようになります。
不動産についてもRWA(Real World Asset)としてトークン化されることで、流動化がより柔軟に行えるようになります。
オンチェーン金融ではグローバルの投資もよりスムーズに行えるため、たとえば日本円を日本円建てステーブルコインにして預ける(または貸し出す)ことで金利1~3%程度を期待することも出来るようになります。また、日本円建てステーブルコインを3%程度で借りて、国内不動産投資を行い5~6%程度の不動産利回りを確保するという投資も生まれてくると思います(不動産がオンチェーン化することで、不動産を担保/証拠金とした金融組成が容易になります)。
つまり、これからの時代に国民金融資産を多く持つ日本は大きなアドバンテージを持っているということになります。


