DEEPPOINTDEEPPOINT
連載「日本を経営する第一回

【第1回】財政の数字より「経営のマインド」が日本には足りない

【第1回】財政の数字より「経営のマインド」が日本には足りない

歳出122兆円・国債残高1100兆円の裏で、経常収支は30兆円超の黒字、国民金融資産は2300兆円。リミックスポイントを時価総額250倍にした小田玄紀が、財務省に必要な「CFO視点」への転換とGDP1000兆円への道筋、重点成長分野3+1を示す連載第1回。

小田玄紀小田玄紀内藤 瑠那内藤 瑠那
公開 2026.07.13更新 -

※本記事は小田玄紀さんのnote記事を許諾を得て再掲載したものです。本文は原文のまま、見出しのみ編集部で再構成しています。

出典:https://note.com/genkioda/n/n50e46b534a65

小田玄紀です

この5月から日本経済財政再生機構というシンクタンクを立ち上げました。不定期にはなりますが、今後、日本経済と日本財政を再生させるための戦略を考察していきます。

初回なので、骨子を整理していきます。

日本は「良い」のか「ダメ」なのか?まず結論から

まず、最初に『日本は良いのか、ダメなのか?』ということから考えてみたいと思います。

先に結論を言うと、『良くはないが、決して悪くもない状況』だと私は考えています。そして、この現状から適切に『日本を経営する』というマインドで国家運営に取り組めば、日本経済・財政は再生出来る状態にあると確信しています。

過去のNOTEにもまとめていますが、日本の国家歳入は80兆円を超えています。他方で歳出が122兆円となる見込みで、毎年35-40兆円近いキャッシュフローベースのマイナスとなっています。

国債残高は1100兆円を超えており、GDPに占める債務残高が高すぎることが課題視されています。

数字の裏側にある「日本の底力」

ただし、現状をより適切に分析すると日本の可能性も見えてきます。

まず、日本全体として見た場合、つまり、政府・企業・国民の総和で評価をした場合、日本の経常収支は黒字化が続いています。2024年度は30兆円を超える黒字となりました。

さらに国債の90%以上は日本国内で債権保有されており、国民金融資産は2300兆円を超えています。

また、国債残高は『将来への負債』であると同時に、投じた先の『産業インフラや技術という資産』の裏返しでもあります。大事なのは額ではなく、その中身(ROI)です

なので、決して悲観的になる必要はなく、目先の対応に右往左往することなく、本質的な政策を適切に遂行することが出来る状況にあります。

また、『失われた30年』という言葉に代表されるように、この30年間の経済成長の低迷や債務残高の膨張を財務省や政治・官僚の責任にする意見もありますが、これもあまり本質的な批判ではないと思います。

かつて、日本が高度成長を実現出来たのは、官民が一体となり、成長産業を推し進めたことが要因だと思います。

しかし、現代社会は価値観があまりに多様化し、時には経済成長だけが正しくないという意見が世論を形成したり、また、従来は想定していなかった産業の在り方が台頭してきたため、この変化に適切に対応出来ないのは仕方がないことです。

財務省に必要なのは「管理部長」でなく「CFO」の視点

ただし、財務省を含めた官僚もこれからは評価軸・判断軸を変えていく必要はあります。

従来は、いわゆる『管理部長』のようなポジションで、どのように税収を伸ばし、歳出をコントロールするかが主でした。

この考えだと、『税収を取れるところから取ろう』という発想になってしまい、たとえば最近も金融課税の強化やスタートアップ起業家に対する課税強化など母数が少ないものの課税単価は高いところから徴収しようとする考え方が正しいとされてしまいます。

正しい経済成長が出来れば、増税をしなくても税収は増やせます。そのため、財務省のプロトコルを管理部長からCFOに変更していく必要があります。

管理部長は、今の財布の中身を見て支出を削る。CFOは、将来のキャッシュフローを見て、今どこに投資すべきかを決める。日本に必要なのは、後者の決断です。

ここ数年で半導体産業誘致のために10兆円規模の予算を経済産業省は確保していますが、これは補助金を拠出する先に対して10年程度で税金等で補助金額に近い貢献があることを条件にしています。

このような投資に近い歳出はGDP増加に繋がり、また、税収増加にも寄与します。

GDP1000兆円が実現すれば、財政問題は自ずと解ける

日本の場合、GDPと税収には相関関係があり、GDPの12-13%が税収になります。

つまり、日本のGDPが1000兆円になれば、120-130兆円の税収が期待できます。別途、税外収入が10-15兆円程度あるため、130-145兆円の国家収入となり、これだけあれば、今後、社会保障費や防衛費や利払い費が増えてもキャッシュフローベースで対応出来ます。

安易な増税で目先の税収を上げることを追求する必要はなく、10年目線で経済成長を実現し、キャッシュフローを黒字化させて、財務問題も解決することが出来るので、この状態を強く意識し、また、対外的にもコミットメントを示すことが重要です(これが国債金利の低下や為替問題の解決にも繋がってきます)。

重点成長分野3+1

なお、経済成長の軸も私なりにまとめてみました。現在の政府が掲げている17分野は全て大事なものであることは間違いありません。ただ、重点分野というには多すぎます。

日本の強みや現状を鑑みた場合、私なりに掲げる重点成長分野は以下の3点です。

①エネルギー分野

②半導体・生成AIなど最先端産業

③長寿化

そして、これらを支えるための金融政策の抜本的強化です。

この3つ+1つを徹底的に政策推進することで、10年間で日本のGDPそして経常収支は劇的に改善します。

もちろん、他の分野の産業育成を同時に推し進めることも否定しません。ただ、上記に掲げたことだけやれば、お釣りが来るだけの成果が得られるので、ぶらさずにこの重要分野は対応をしていくべきだと考えます。

エネルギー分野は最先端産業を行うために必要なインフラであり、また、現在の日本のエネルギー自給率は15%程度と低く、毎年30兆円を超える貿易赤字を生じさせています。エネルギー問題を解決させることは全ての産業開発・経常収支・財政問題解消に繋がります。

最先端産業が成長することで、長寿化産業の発展にも繋がります。そして、平均寿命に加えて健康寿命が伸びて70歳まで普通に働ける社会になれば1000万人近い労働人口の確保に繋がります。

そして、これらを金融力で支えることでさらに盤石な経済財政基盤の構築が可能となります。

次回以降に、もう少しそれぞれの論点を深掘りしていきます。

2026年5月6日 小田玄紀

japananalysis

関連記事

小田玄紀
日本経済財政再生機構 / Remixpoint創業者
小田玄紀

「頑張る人が報われる」社会を創るために、2001年東京大学在籍時に起業。2002年から日本で社会起業家の概念を啓蒙し、社会起業家支援セクターの立上げを行う。2011年東日本大震災を契機に事業再生に従事。株式会社リミックスポイントの経営に参画し、同社の時価総額を4億円から6年で250倍の1000億円にする。2018年紺綬褒章受章。2019年世界経済フォーラムよりYoung Global Leadersに選出。一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会理事、一般社団法人日本暗号資産取引業協会理事、一般社団法人日本デジタル空間経済連盟理事。2026年5月にシンクタンク「日本経済財政再生機構」を設立。

内藤 瑠那
編集長
内藤 瑠那

青山学院大学経済学部卒業後、美容系専門商社、カカクコムを経て独立。メディア立ち上げ、インタビュー取材、SNS運用、コンテンツディレクション、Webマーケティングまで幅広く経験。「宣伝会議 編集・ライター養成講座」第49期最優秀賞受賞。DEEPPOINTでは、編集方針の設計、取材企画、記事制作、SNS発信を統括する。