※本記事は、リミックスポイント公式YouTubeチャンネル「リミちゃんねる」の対談動画・前編(2026年6月11日)をもとに再構成したものです。発言は収録時点のものです。
太陽光でつくった電気が、使われないまま発電を止められる。電気が余る時間がある一方、私たちは使いたいときに、いつも通り電気を使っている。では、電気を使う時間や場所を変えたら、何が起きるのか。
リミックスポイント取締役・原田浩志氏と、同社顧問で元経済産業省の石川和男氏が、再生可能エネルギーの歩みとこれからの電気の使い方を語り合った。前編のテーマは、需要に合わせて電気をつくるだけでなく、電気がある時間に需要を動かす「デマンドレスポンス」について。
ディープテックを電気から考える
DEEPPOINTでは、ディープテック専門メディアとして、AIや半導体、ロボティクス、宇宙、バイオといった領域を扱っていきます。そうした技術を社会で使っていくには、政策だけでなく、インフラとしてのデータセンターや通信、電力も必要になります。リミックスポイントも電力や蓄電に取り組んでいます。石川さんは今、どこに問題意識を持っていますか。
ディープテックという言葉自体が始まったばかりなので、ジャンルが広いですよね。ですから、具体的なところから入ったほうがいいと思います。例えばリミックスの場合は電気事業、特に再エネと蓄電です。“安くて安定した電気”というところで考えると、今回は“DR(デマンドレスポンス)”について考えていきたいと思います。
電気が安い時間に、使う側を動かす
電気は必要なときにつけて、電気料金がかかる。ガソリンなら、減ったら給油しますよね。でも電気は瞬間消費財だから昼と夜で値段が違ってもいいはずなんですよ。太陽光は夜には発電しません。一方、昼間は日照がよければ電気が余って安くなる。
例えばスマホで「今、電気は安いのか」を見て、家や職場で使う時間を変える。需要を電気が安い時間に合わせれば、需給のブレも小さくなります。これが、賢い電気の選び方ですよね。エネルギーの世界では、好むと好まざるとにかかわらず、こういう選び方が広がっていくと思います。
余った太陽光を、どう使い切るか
今は太陽光で電気をつくっても、余ると出力制御で発電を止めることがあります。せっかく国内でつくったエネルギーなのに、もったいないですよね。例えば電気が余っている場所にEVの駐車場をつくって、バスやタクシーの充電をそこに寄せる。そうすれば、余った電気を使えます。言うのは簡単ですけど、実行するのは難しいんですが。
ただ、安い時間の電気に生活や事業の使い方を合わせて生活費・事業費・経費を削減するということは、誰かが考えるはずです。だったら、リミックスが考えればいいという発想です。
私たちはこれまで、生活に合わせて電気を使ってきました。電気代が高いからといって、暑い日にエアコンを止めるわけにもいきません。価格をあまり意識せずにきている。
一方で、再エネの電気が余ってしまう。そうであれば、まず貯めるというところの発想ですよね。例えばEVに充電して安いときに使い、価格が高いときに売ることができれば、その差額が価値になります。これを同じ電力ネットワークの中で電気を融通できれば、そこに市場が生まれる可能性もあります。電力と蓄電の両方に取り組んでいる当社にとって、挑戦できる領域だと思います。
10年前の「想定外」が、今の仕事になった
再エネがここまで増える前は、PPAという契約やアグリゲーターという業態も、今のようには想定されていませんでした。以前は電力会社が、原子力や火力、水力などをまとめて需給を見ていたんです。でも、小さな再エネの設備がたくさん入ってくると、電力会社だけでは対応しきれない。そこで、小さな発電や需要を束ねるアグリゲーションが必要になりました。
10年前に誰も想定していなかったものが、10年後には標準になる。太陽光一つを題材にしても、これだけ話が出てくるわけです。事業として実装し始めれば、この世界には相当な夢があると思います。
再エネの制度は、30年かけて形になった
電力の自由化や再エネの制度というのは、日本だけでつくられてきたものなんでしょうか。
エネルギー制度で、日本が世界に先駆けて始めることは、私の経験ではあまりなかったですね。欧州やアメリカの制度を参考にすることが多かった。30年ほど前は、太陽光なんてまだ実用になるのかと思われていたんです。それが、ここまで来ました。
デマンドレスポンスも、今はまだ身近ではないかもしれません。でも、コロナ前にリモートワークやZoomでの就職面接がここまで普通になると、どれだけの人が思っていたでしょうか。再エネはまだ飽和していません。リミックスはすでに電気事業をやっているのですから、デマンドレスポンスは取り組むべきことの一つだと思います。
そのときに大事なのは、大手電力や大手ガスと敵対しないことです。むしろ組む。長く事業を続けてきた企業にも、すぐにはできないことがある。そこを新しい企業が補って、協調していけばいいんです。
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デマンドレスポンス(DR):電気を使う側が使用量や時間を調整し、需要のパターンを変えること。
出力制御:電気の供給が需要を上回るおそれがあるとき、安定供給のために発電量を抑えること。
PPA:発電事業者と需要家などが結ぶ電力購入契約。
アグリゲーター:複数の小さな発電設備や蓄電池、需要を束ねて運用する事業者。
編集:DEEPPOINT編集部/出典:リミちゃんねる(株式会社リミックスポイント)

